パート収入だった月10万円を、毎月分配型ファンドの分配金で埋められるか実践しています。分配金には普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の違いがあり、全額が利益ではありません。実際の分配金内訳と、新NISA・iDeCoとの使い分け方を数字で公開します。
パートを辞めて分かった「月10万円」の重さ
月10万円という金額は、単月で見るとそこまで大きく感じないかもしれません。ですが、年換算すると120万円になります。仮にこれを預貯金の利息だけで生み出そうとすると、後述する現在の普通預金金利(年0.4%程度)では、元本3億円が必要になる計算です。パート収入という「労働による対価」を、資産運用という「お金に働いてもらう対価」に置き換えるには、そもそもの原資の規模が大きく異なる、というのが最初に押さえておきたい前提です。
この前提を踏まえた上で、「では資産運用でどこまで埋められるのか」を、実際にやってみた記録として書いていきます。
貯金と投資、今の金利差はどれくらいか
まず基礎知識として、預貯金の金利がどう変わってきたかを整理します。
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を年0.75%から年1.0%に引き上げました。中東情勢の悪化に伴う原油価格の上昇などがインフレ圧力として意識され、利上げにつながった形です。これを受けて、主要な銀行が軒並み預金金利を引き上げています。
- 三菱UFJ・三井住友・みずほ(メガバンク3行):普通預金金利を2026年8月3日に年0.30%から年0.40%へ引き上げ
- 楽天銀行:通常金利は年0.40%。証券口座と連携する「マネーブリッジ」利用で、残高1,000万円以下の部分は年0.48%。楽天カード引落やボーナス金利などを組み合わせると、最大年0.74%まで上乗せされるケースもある
- ドコモSMTBネット銀行(2026年8月3日に住信SBIネット銀行から商号変更):普通預金は年0.40%、SBI証券と連携する「SBIハイブリッド預金」は年0.41%
いずれも2026年8月3日時点の数字です。100万円を1年間預けた場合の税引前利息は、金利0.4%であれば概算で4,000円ほど。かつての金利0.001%時代(税引前で10円程度)と比べれば大きな上昇ですが、月10万円という穴を埋める規模には届きません。
一方、投資信託などで運用すれば、値動きのリスクを引き受ける代わりに、預金よりも高いリターンが期待できるとされています。ただし投資に「絶対」はなく、値上がりする年もあれば元本を割り込む年もあります。この記事も「これをやれば確実に月10万円埋まる」という話ではなく、あくまで一つの選択肢の紹介と、実践記録として読んでいただければと思います。
※預金金利は変動するため、実際の数字は各銀行の公式サイトで最新のものをご確認ください。
実践している選択肢——毎月分配型ファンドという仕組み
私が実践しているものの一つが、「毎月分配型」と呼ばれるタイプの投資信託です。毎月決算を行い、運用状況に応じて分配金が支払われる仕組みで、代表的な商品の一つに「世界のベスト」という愛称で知られるファンド(インベスコ 世界厳選株式オープン・毎月決算型)があります。2017年1月から毎月分配を続けており、シリーズ全体の運用資産残高は数兆円規模まで拡大していると公表されています。
私自身は昨年秋からこのタイプのファンドへの投資を始め、現在は月4万円台の分配金を受け取っています。パートで得ていた月10万円のうち、半分近くをこの1本だけでカバーできている計算です。含み損益もプラスで推移しており、今のところは狙い通りに進んでいます。
普通分配金と特別分配金——分配金の中身を正しく理解する
ここは、AFPとして一番丁寧にお伝えしたいポイントです。毎月分配型ファンドの分配金には、実は2種類あります。
- 普通分配金:運用で得られた利益から支払われるお金
- 特別分配金(元本払戻金):運用の利益ではなく、自分が入れた元本の一部が払い戻されているだけのお金
「毎月◯万円もらえた」という話だけを聞くと、まるごと利益のように感じますが、実際には特別分配金が含まれているケースが多くあります。私自身の分配金の内訳を見ても、全体の3分の1程度は特別分配金でした。これは「損している」わけではありませんが、「純粋に増えた分」ではないことは、投資を始める前に必ず知っておくべき仕組みです。
毎月分配型ファンドは、金融庁もたびたび、この仕組みを十分理解しないまま選んでいる個人投資家が多いことに注意を促してきた商品でもあります。「毎月お金がもらえて嬉しい」という感覚だけで選ぶのではなく、中身を理解した上で選ぶことが大切だと考えています。
毎月分配型が向く人・向かない人
仕組みを理解した上で、次のように向き・不向きを整理しています。
向いていると考えられるのは、
- 資産を増やすことより、「毎月のお小遣い・生活費の足し」として受け取りたい方
- 分配金を受け取ることで、運用を続けるモチベーションを保ちたい方
逆に、次のような方には不向きだと考えます。
- できるだけ効率よく資産を増やしたい方(分配金を出さず再投資に回すファンドの方が、税金の面でも有利になりやすい)
- 新NISAなどの非課税枠を最大限活用したい方(分配金には税金がかかるため、非課税メリットを活かしきれない場合がある)
新NISA・iDeCoとの役割分担
私自身は、この毎月分配型ファンドとは別に、新NISAでの積立も並行して検討しています。考え方としては、
- 毎月分配型:今すぐ使えるお金として、生活費の足しにする
- 新NISA・iDeCo:将来のために、分配金を出さずにコツコツ増やす
というように、「今のため」と「将来のため」で役割を分けるイメージです。どちらか一方が正解というわけではなく、自分がお金にどんな役割を持たせたいかで選び方が変わってきます。
判断のために、まず「今の数字」を把握する
ここまで整理してきた「金利」「分配金の内訳」「向き不向き」は、どれも自分の状況に当てはめて初めて意味を持ちます。逆に言えば、まず把握すべきは次の3つの数字だと考えています。
- 今の預金金利で、手持ちの資金がどれだけ増えるか(または増えないか)
- 保有しているファンドの分配金のうち、普通分配金と特別分配金の比率がどうなっているか(証券会社の取引報告書・運用報告書で確認できます)
- 毎月の家計で、実際にいくらの穴を埋める必要があるのか
この3つを数字で押さえないまま「毎月お金がもらえるらしい」という印象だけで商品を選ぶと、後から「思っていたのと違った」となりやすいというのが、実務を見てきた実感です。証券会社のポートフォリオ管理画面や、目論見書・運用報告書といった一次情報を、まず一度は自分の目で確認することをおすすめします。
まとめ
- パートを辞めた月10万円は、年換算で120万円規模の家計インパクトになる
- 銀行預金の金利は2026年8月に大手行で年0.4%まで上昇したが、100万円を1年預けても増えるのは数千円ほど
- 毎月分配型ファンドは、普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の区別を理解した上で選ぶことが重要
- 効率よく資産を増やしたいなら新NISA・iDeCoとの併用、今すぐ使えるお金がほしいなら毎月分配型、というように役割を分けて考える
- まずは「今の金利」「分配金の内訳」「家計の穴の大きさ」を数字で把握することが、判断の出発点になる
次回は、新NISAでの積立を実際にどう組み立てているか、具体的な数字とあわせてご紹介する予定です。
※本記事は特定の商品への投資を推奨するものではなく、筆者個人の運用体験に基づく情報提供です。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。


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